《リフォーム》築150年以上・・江戸時代から住み継ぐ家2022/11/11

小金井公園内にあります江戸東京たてもの園へ

前川邸と三番目の子どもJUI♂4歳

江戸東京たてもの園は、失われてゆく江戸・東京の歴史的な建物を移築保存し展示する目的で東京都小金井市の都立小金井公園内に設置された野外博物館。小金井市にあり事務所からも近く、建築士にとっての目の保養のためにたまに出かけていきます

 

一番好きな住宅がこちらの前川國男邸

 

この住宅は、1942年に東京都品川区上大崎に建てられました。前川國男氏の生前、1973年に解体され、軽井沢の別荘で解体材の状態で保管されていましたが、その後前川家から「江戸東京たてもの園」に寄贈され、1996年に再建されました。

 

1941年に太平洋戦争の翌年1942年に建てられた家とはとても思えない建物です。物資の無い時代の中で、限られた建築資材とこのころの建坪100㎡以下という制限の中で建てられた。

 

 

住宅建築はその当時の暮らしや社会の情勢を色濃く反映したものだと思いまして、実際の建築は訪れるたびに発見があって この建物も学生時分から何度も訪れてますが 訪れるたびに気づく感じることがあります。一回で全部わかるともっと素晴らしい建築士になれたのでしょうが、少し年を重ね経験を踏むと学生自分には見えなかったものがあり毎回新鮮な発見と共に楽しめます、私もおっさんになったなぁと。。

 

 

内部はとても開放的で明るく豊かな空間

この大窓上部にはカーテンを設置する予定でカーテンボックスが設置されてますが長く伸ばした庇のおかげで実際にカーテンは取り付けなかったとか・・。設計の時の作戦と実際に暮らしてみてが違うのは前川さんにもあるのです。なんとなく黒っぽい外観はデザインもあるのでしょうが戦時中だったことも大きく関係あるのかなぁとか当時の設計者の想いを想像する

 

ドアが丸かったり随所に遊び心のあるデザイン。キッチンとダイニングを結ぶ木の小窓

 

大開口の窓の納まりも日本的で素晴らしい

 

たてもの園には建築以外に当時の街並みや昭和37年製造の都電なども置いてあります

 

渋谷駅前を起終点とし、新橋・浜町中ノ橋・(神田)須田町まで走っていた車輌です。交通量の急激な増加にともない、都電は荒川線を除いて1963年(昭和38)から順次廃止されました。

 

銭湯も

 

天明家(農家)(てんみょうけ)

江戸時代、鵜(う)ノ木村(現在の大田区内)で名主役を勤めた農家など古い建築もたくさんあります

まだ行かれたことのない場合 ぜひ一度訪れてはいかがでしょうか

 

 

 

 

と、ここまでが長い前段となってまして、ここからが今日の本題。江戸時代の建物をリフォームさせて頂きましてリフォーム案件を紹介させて頂きます。東京は西の方、あきる野市にて江戸時代に建てられた150年の時を紡ぐ再生住宅を御紹介!!

 

改修後の外観 この日は完成見学会をやりまして高級車でいらした方がいて勝手にパシャリ。とても150年経過の建物には見えない

 

 

 

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▲ビフォー、けやき出版「たまの四季」に掲載されただいぶ以前の様子

 

▼改修後の様子より

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この建物は最初に作られたのがなんと江戸時代!!築150年の建築です!!耐震性能を新築同等基準まであげ、断熱気密改修も行ないました

 

 

 

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縁側と少年

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1期工事では、茅葺屋根は銅版屋根へとやり変えました。古くてよい部分が多く、私共はそれを生かしてリフォームさせて頂きました。古材はほとんど再利用、転用しております

 

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2期工事では、「断熱改修」をおこないまして障子は内側に新規の建具を設置しました(二重建具、右上写真参照)。当然外壁内部にも断熱材を充填し、床下にも厚い断熱材設置の上、床暖房を設置しました。

 

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日本家屋が元来持ち合わせているフレキシブルな住まい方に改めて感心。建具は全て張替えや長さの調整、美装して再設置しました。

 

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障子引き戸開け閉めして利用する伝統的な日本間

 

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改めてそのフレキシブルな空間利用に頭が下がります。

 

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障子の手掛け部分にも昔ながらの細工が見てとれる。建具屋さんと相談して当時の納まりを踏襲して、障子を張り替えました

 

 

 

収納量が絶対的に少ないということ作り付けの造作家具もいくつか設置。現代的ではありますが 物を書いたりする書斎、化粧台、PCコーナー様々な用途に対応したものは設置しました

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椅子も家具屋さんで製作、座ると固定する特殊な仕組みのキャスター付きの椅子で、「不思議~」と、こどもに受けてます

 

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内部収納式

 

 

 

更に収納スペースの確保が必要ということで、大屋根の内部に昔蚕室だった場所があるのに気づきまして、今では使われなくなったスペースだったのですがこれを収納スペースとして現代的に再生させました

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屋根裏スペースの活用

 

 

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▲ビフォーの様子

蚕室だった、今は使われていなかった

 

 

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一本一本古材を取り外してゆく。新たに設置した天井には断熱材を敷き詰め、内装もやりかえる

 

 

 

▼アフターの様子

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以前は暗かった階段室部分に障子を入れて採光をとりました。屋根裏においてあった(放置されていた)黒いハシゴは美装して壁掛け

 

 

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旧蚕室→小屋裏収納に!!

 

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古材など利用し棚も設置。8畳程度の収納空間をつくりました。ついでに通風用に1階のLDKの間を見渡す開口をあけて

 

 

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1階よりこの小屋裏収納部分を見上げる

 

 

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小屋裏より見下ろす

 

 

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時を紡いできた建物に少し手を入れさせていただき、さらに何十年も使っていただけるお手伝いをさせて頂きました。障子を開けて縁側で庭を眺める・・緩やかな風と陽射しに包まれたすばらしい時間!!

 

 

 

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