インナーバルコニー・中庭のある家々
― 内部のように使える「外部空間」をつくる ―

住宅を設計していると、
「外からの視線を気にせず、気持ちよく外で過ごしたい」
「明るいリビングにしたい」
「洗濯物を安心して外に干せる場所がほしい」
といったご要望をよくいただきます。特に東京などの住宅密集地では、ただ大きな窓やバルコニーをつくれば、明るく開放的な住まいになるとは限りません。周囲の建物や道路からの視線を遮りながら、光・風・空をどう住まいの中へ取り込むか。そこで私たちがよく提案するのが、壁やルーバーで緩やかに囲われたインナーバルコニーや中庭、ミニテラスなど、いわば「内部のように使える外部空間」です。今回は、これまで弊社で設計してきた住宅の中から、外部空間を暮らしに取り込んだ実例をいくつかご紹介します。
ケース①

バルコニーをLDKの延長として考える
2階のLDKと連続するように設けた、陽当たりのよいバルコニー。住宅街の中にありながら、道路側には目隠し壁を設けることで、周囲からの視線を気にせず過ごせるプライベートな外部空間としました。

大きな開口部を介してLDKとバルコニーを視覚的につなげることで、室内から見ても空間が外へと広がり、実際の床面積以上の開放感を感じることができます。LDKの一部には吹き抜けを設け、高窓からも自然光と風を取り込む計画に。「室内+バルコニー+吹き抜け」をひとつの立体的な空間として考えることで、家族が自然と集まり、光と風を感じながら過ごせる住まいの中心をつくりました。




家族がつながる”橋”がある家 | 建築設計事例 | 自然素材の新築・注文住宅 TAU設計工房
ケース②

四隅につくった、家族それぞれの居場所
方形屋根とは、四方からひとつの頂点に向かって立ち上がる、ピラミッドのような屋根形状。その特徴を室内にも活かし、中央に向かって天井が高くなる、伸びやかで立体的なLDKをつくりました。そしてその四隅にはそれぞれ異なる過ごし方ができる楽しい家族の居場所へ

方形屋根の工事中の様子




ケース③

共働き家族を助ける「回遊式水回りの家」
外部空間は、大きければよいというものでもありません。この家では、5人家族の共働きご夫婦が少しでも効率よく家事をこなせるよう、2階の建物中央に約2畳の小さなテラスを設けました。テラスはキッチンに隣接し、外干しスペースとして使えるほか、キッチンへの採光や換気にも役立ちます。

2階の建物中央部分に2畳程度のミニテラス+アイランドキッチンを配置。ミニテラスは外干しスペースやキッチンへの採光や換気のために利用

そして、この家の大きな特徴が回遊できる家事動線です。
テレワーク用書斎
⇔ 目隠しされたテラス(外干し)
⇔ キッチン
⇔ パントリー
⇔ 洗濯・室内干し
⇔ 洗面・浴室
⇔ 再び書斎へ。
仕事をしながら洗濯をしたり、料理の途中で洗濯物を取り込んだり、ときにはテラスへ出てひと息ついたり。仕事・家事・息抜きを、ひとつの回遊動線でつなぐ。小さなテラスが加わることで、単なる効率だけではない、楽しく気持ちのよい家事動線を目指しました。


ケース④

外から閉じて、内側へ大きく開く
住宅街では「開放的に暮らしたい」という希望と「外から見られたくない」という希望が、どうしても同時に出てきます。そこでこの家では、中庭をルーバー格子で緩やかに囲いました。中庭を挟んでダイニングとリビングを配置し、それぞれの空間が庭を介して視覚的につながる構成としています。

さらにトップライトからも光を取り込み、中庭を住まいの中心に据えることで、建物全体をひとつながりの明るい空間に。道路や隣家に向かって大きく開くのではなく、外からは閉じながら、家の内側へ向かって開く。都市住宅における、プライバシーと開放感を両立させるひとつの方法です。


ケース⑤

こちらは、戦前に建てられた築80年の住宅をリノベーションした住まいです。既存の屋根を一度取り払い、屋根と天井を高く再構成。ハイサイドライト(高窓)を連続して設けることで、2階には光と風があふれる大きなLDKが生まれました。

LDKから見える位置にはルーフテラスを設け、室内にいながら空や緑を身近に感じられるようにしています。テラスでは、ご主人が丹念に育てた花々を眺めたり、家族で食事を楽しんだり。室内のリビングだけではなく、テラスも暮らしの場所として積極的に使うことで、まさに「第2のリビング」となりました。


辰巳琢郎の家物語で紹介「空を感じる光と風の家」 | 建築設計事例 | 自然素材の新築・注文住宅 TAU設計工房
外部空間は「余った場所」ではなく、暮らしを豊かにする場所
バルコニー、中庭、テラス、屋上。図面上では「外部」と表記される場所ですが、私たちはこれらを単なる室外スペースとは考えていません。LDKとつなげれば、室内をより広く感じさせる場所に。壁で囲えば、空だけを楽しめるプライベートな庭に。キッチンの横につくれば、家事を助ける場所に。植栽や家庭菜園を設ければ、家族の楽しみの場所になります。そして、外部空間を上手に設けることで、光や風を住まいの奥まで届けることもできます。大切なのは、「バルコニーをつくること」そのものではなく、そこでどんな暮らしをしたいのかを考えること。
建築に関するご相談は無料で承ります。お気軽にご相談下さい。
出来る限り適切なアドバイスをさせて頂きます。