【ドイツ・オーストリア建築研修2010】その②ドイツ・レーゲンドーフにて2010/03/30

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ドイツ・レーゲンドーフにて、ローコストパッシブハウスの住宅事例より
農業用に用いられる安価なメッシュ素材のファブリックをファサードに用いた外観
高齢者の住む住宅として、一階にバリアフリーの間取りを確保、2階にはゲストルームと仕事
場を配置。外構にはウッドデッキとプールを設け、屋根からの雨水をためる機能を持つ 木造2階たて

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設計者のバレンティン氏Architekturbuero Vallentin、今回見せていただいたこの家は義理の両親の家
内装仕上げにはOSBボードの磨き仕上げ。OSBは木材の持つリグニンという成分で圧着、接着剤を一切使用していない素材

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壁も天井もOSB仕上げ、天井に見えている梁は向上にて制作して現場取り付けパネル 建設コストを抑えるため合理的な工法でパッシブハウスを実現している・・

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景色がすばらしい、LDKは通常は南向きにだが、この敷地のロケーション考慮して西向きとした、パッシブハウス仕様としているので問題なし
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メーカー品ではなく合理的な造作キッチン このあたりの感覚は勝手に近いものを感じる
~ちょっとここで豆知識 パッシブハウスの性能について(キーアーキテクツHPより引用)

●パッシブハウスとは
パッシブハウスとは、1991年にドイツのパッシブハウス研究所によって確立された省エネ住宅スタンダードです。各国の法規によって定められた省エネスタンダードよりもはるかに上を行くこのシビアな省エネスタンダードは、ドイツ、オーストリアで大きく普及し、2011年までにはEUの新築住宅のスタンダードになるとされています。

●パッシブハウスの条件とは?下記すべてを満たした家がパッシブハウス
年間冷暖房負荷それぞれ15kWh/m2
年間一次エネルギー消費量(家電も含む)120kWh/m2
気密性能として50パスカル加圧および減圧時に漏気回数が0.6回
家電も含めた冷・除湿・給湯・換気・照明に要する「年間一次エネルギー消費量」により算出

●EUの住宅エネルギーパフォーマンス表示制度との関係は?
2008年1月4日から実施されている、欧州の住宅エネルギーパフォーマンス表示制度は、
冷暖房、給湯および換気(国によっては照明)に用いられるエネルギー量を、
年間の一次エネルギー消費量として算出します。
エネルギーパスの目的は、純粋にCO2削減の推進である一方、パッシブハウスは省エネ性、居住性、
経済性を3つの柱としてアフォーダブルな省エネ住宅を普及させることを目的としています。

●国土交通省の省エネラベリング制度との関係は?
2009年4月から導入されたトップランナー方式の省エネ住宅ラベリング制度では、EUと同様に冷暖房、除湿、給湯、換気および照明に用いられるエネルギー量を、年間一次エネルギーとして算出します。算出に用いられる単位は、MJ(メガジュール)となり、1kWh=0.0036MJを用いて、EUの省エネ表示やパッシブハウスの性能と比較することが可能です。ただしこの新制度は、年間150棟以上の施工を手がける大手工務店のみに義務付けられ、法規として新築および不動産取引が行われる中古物件の全てに義務付けを行うEUの制度とは異なります。
今回の家では年間一時エネルギーが95kW/㎡ 年間暖房負荷が15kW/㎡とのこと

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4~5畳の広さの設備スペースの様子。日本なら確実に収納庫にしたいこのスペースにパッシブハウス秘密がありまして、ここに太陽熱温水タンクなど熱交換換気装置(これがとっても大きい)等設置してある。

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■暖房:熱交換式ペレットストーブ、パネルヒーティング

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■給湯:太陽熱温水器2台・ペレットストーブ(太陽熱による給湯の供給率は67%程度)

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■換気装置:熱交換換気装置 地熱交換38m

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給気口の様子 地熱を利用して家の中に給気する
断熱性能についても少し

■サッシ:LOW-Eガラスのトリプルサッシュ U値0.69W/㎡K
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内開きサッシの枠内に取り付けられた内付ブラインド。ドイツには室内用のアルミブラインドにワイヤーが貫通しているタイプが既製品としてあり、それは木製トリプルサッシの枠内にちょうど収まる厚みであるため、自作で取り付けたとのこと。おかげで換気用に窓を内側に倒しても、ブラインドと干渉しない

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マッチで火をかざすと3つに見える→トリプルガラス

 

■外壁の断熱 セルロース400mm 通気層40mm U値0.1W/㎡K OSBボード仕上
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ちなみに木造・構造材はドイツ国内又は周辺の国でとれた木材を使っている・・北米産ではなく、近くにあるものを当然使う!梁は現し、合板のようなものを張って仕上げるなどとっても近い設計感覚を勝手に感じる

■屋根の断熱 セルロース400mm 通気層40mm U値0.1W/㎡K OSBボード仕上
40cmの厚さのセルロース断熱材・・建物全体として超高断熱高気密の家、これがあって始めてパッシブハウスになりえるとのこと。高性能な外皮により、低エネルギーで換気、暖房、給湯が可能になる。

 

■気密性能 0.3回 さね加工のOSBボードで壁の気密を取り仕上げとしている!

■その他 今は氷っていましたが雨水利用のための貯水池を計画、ビオトープの作用により、泳げるくらいの透明度とのこと

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設計者から設計の工夫、実際に実現できたこと、想定していない使い方に大してどうやって対応したか・・実際のところのお話お聞きする・・・親戚の家とは言え、外構除いて、坪単価65万程度で完成しているから驚く・・

Category: 建築旅 ,

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