プラスエネルギーハウス2012/09/29

研修よりプラスエネルギーハウスをご紹介!!その前にドイツ、フライブルクの様子から
ドイツ、フライブルクは環境政策で先進的な都市として知られており、欧州の都市環境保護キャンペーンなどでも何度も賞を受けるなどしている。環境首都という呼称は、ドイツ環境支援協会による自治体コンクール「自然・環境保護における連邦首都」において1992年に最高点を獲得し、「環境首都」として表彰されたことに由来する。
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右写真は町のシンボル、大聖堂の様子。ロマネスク様式とゴシック様式が混在するこの大聖堂は、1354年に着工1513年に完成したとか・・
大聖堂前のマーケットの様子
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大きいなソーセージがいっぱい!!
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腹ごしらえした後、いよいよ楽しみにしていた ソーラーシティ、プラスエネルギー・ハウス がある ボーバン(Vauban)地区へ。
ボーバン地区は第二次世界大戦後、ドイツの東西統合までの期間、フランス軍が駐在した地区であり、ヴォーバンという名はフランスの要塞建設マイスターの名前にちなんだものである。植屋上緑化、ソーラー住宅、歩行者優先の道路計画など、さまざまな省エネ対策が進められていることで知られている
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ソーラーシティ、プラスエネルギー・ハウスの様子
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フライブルク市のヴォーバン地区にて。2億円かけて建てた 円柱の建物の正体・・設計者ロルフ・ディッシュ(Rolf Disch)氏による、太陽の向きに合わせて回転する実験住宅です!
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今回の案内役 広報 Tobias Bubeさん
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ディッシュ氏が1996年に実験的に建てた自邸、ヘリオトープである。この円柱型の木造住宅は、通常は日の出から日没まで東から西に建物ごと半回転し、ガラス面から建物に太陽光を取り入れる。夜になると逆転をしてまた元の位置に戻るという大変奇抜なアイディアによって建てられた。夏場は日射遮蔽のために、建物のガラス面は太陽に背を向けて回転してゆく。よって屋根の上の太陽光発電は、建物の回転とは無関係に、常に太陽の方向を追って回転する(垂直方向にもパネルが回転し、太陽のトラッキングによる発電効率の向上はおよそ30%である)。
この住宅の設計においてディッシュ氏は、住宅が一体どれだけのエネルギーを作り出すことが出来るのかを試みたとされており、外壁の断熱性能にはパッシブハウス基準を適応している。現在もディッシュ夫妻自らがこの住宅に住みながら、実測で消費エネルギーの約4倍のエネルギーを生み出している。現150トンもの建物の自重を木造の円柱で支えるこの特殊な構造には、当時計算手法が確立されていなかったため、大学や研究機関で解析を行い、風圧に対するその安全性が立証された。集成材の接着剤の強度を、木部分の強度と同じにすることで、構造体への応力集中を防いでいる。
円柱の周りに配置された居住スペースはゆるやかな曲線を描きながららせん状に旋回、円柱の中には住宅の本来の動線となる螺旋階段が(いわば外周の大きな螺旋階段の近道として)配置され、そのシャフト部分には必要な設備配管がおさめられている。
建物のガラスの外壁側には、バルコニーが配置され、手すり部分に垂直に真空太陽熱温水器が取り付けられている。2-3世帯分の給湯と暖房需要を賄っていることから、明らかなオーバースペックである! 発電された電力は全て電力会社に売電、必要な分を買い戻す。熱交換換気装置の給気はアースチューブにより地熱を利用、建物一階にはバイオマス・ボイラーを有する。トイレからの汚水と台所のディスポーザーで粉砕された生ごみは、バクテリアを投入した乾式の浄化槽で処理され、年に一度ごくわずかな汚泥が庭の有機肥料として取り出される。そのあまりの少なさに、ディッシュ夫人は拍子抜けしたという。
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その他風呂場等からの汚水は屋外にある3つのビオトープ(池)で段階的に浄化されている。この住宅を再度建設するためのコストはおよそ160万ユーロ(約2億円)、この実験的なプロジェクトによって積み上げられたノウハウをもって、ディッシュ氏はソーラーシティのための“現実的な”回答を導き出すことになる
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個人的に関心、螺旋階段の支柱(真ん中の丸い柱)が給気口にもなっている!こんどやってみようかな・・
円柱の建物から導き出された住宅が・・下のプラスエネルギー住宅群になりました
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ディッシュ氏のソーラーシティ、プラスエネルギー・ハウスの様子
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ソーラーシティは設計者であるロルフ・ディッシュ自らが施主となり、デベロッパー会社を設立、建設した大変特異なプロジェクトと言える。ディッシュ氏の掲げた“プラスエネルギー・ハウス”の建設には、当時の行政や銀行が懐疑的であったため、一般の投資家(四角いリッター・チョコレートのリッター氏など)やファンドを投資して当初の計画の40%の敷地面積でプロジェクトが実現した。ソーラーシティは真南に向かったテラスハウスタイプの木造住宅と、道路沿いに東西に125メートルのびるRC造のオフィス、店舗棟からなり、全ての建物の外皮性能はパッシブハウス性能で設計されている。住宅数はおよそ100世帯、70から200平米までの住宅タイプが混在している。
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屋根に乗せられた太陽光発電のパネルは合計1000平米(一世帯当たり3~10kWp、年間発電量2800~9600kWh、発電効率13%)住宅の外壁の断熱性能は平均で0.12W/m2K、住宅は平均で一次エネルギー消費量-36kWh/m2aを達成。エネルギーを消費する代わりに、エネルギーを作り出している状態となる。ソーラーシティの給湯と暖房需要を賄う地域暖房システムのボイラーは、ロシアから買い取ったガスによって運転されているが、計画当初はバイオマス・ボイラーを想定しており、それが実現した場合は一次エネルギー消費量が-200kWh/m2aに達していたとされる。
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住宅建設には、入居者や投資家が集まった分だけを建設してゆく段階的な手法がとられたが、そのプロセスの途中の2001年に、ドイツでは太陽光発電で発電された電力の買い取りルールが改正され、より良い単価で20年間電力を売却できるようになった。それを受けてソーラーシティにおいても、2001年以降に竣工した住宅棟では、太陽光発電パネルの取り付けられた庇の長さが1メートル以上長くなっていた! ソーラーシティでは、住宅の断熱性能を現状の省エネ法令EneV2002基準からパッシブハウス基準に引き上げるために1棟当たりおよそ18,000ユーロのコストアップが生じている。これによって年間の光熱費は3000ユーロから150ユーロに減少、更に18,000ユーロのコストアップで太陽光発電パネルを屋根に搭載することで、毎月の光熱費はマイナスに転じ、入居者は毎月収入を得ることが可能となった。
仕様模型
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ゼロエネルギーどころかプラスエネルギー住宅を実現している点に感心するが、効率を考え建物の形状が全部同じ・・という部分が気になる。この建物群は実験棟という意味合いもあるのかもしれないが・・環境を突き詰めるとひとつの形になるではさびしい印象がある
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太陽光発電パネルが屋根材、当初は地下室も計画していたが予算の関係で庭の物置に変更されたようです
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ドイツ・フライブルグ、ボーヴァン地区にて
→ドイツオーストリア研修の様子
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