【ドイツ・オーストリア建築研修2010】その⑪「カウフマン アーキテクト」2010/11/02

超高断熱・高気密な建築のひとつのモデルとしてドイツオーストリアで普及している「パッシブハウス」がありまして春に研修に行った際のリポートを紹介!!

 

高断熱高気密なすまいの実現は私どもの設計に欠かせない重要なポイントの一つになっています。パッシブハウスの設計で有名な設計者がオーストリアにいらっしゃいまして、その方の設計された建物や事務所、住まい等を見てきたので紹介!!

 

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Kaufmann Architekt in Schwarzach シュヴァルツァッハ(オーストリア)

ヘルマン・カウフマン氏の設計事務所+住宅4世帯
混構造 床面積 、1000m2 、1999年竣工
☆パッシブハウスとは(KEY ARCHITECTS HPより抜粋)
パッシブハウスとは、1991年にドイツのパッシブハウス研究所によって確立された省エネ住宅スタンダードです。各国の法規によって定められた省エネスタンダードよりもはるかに上を行くこのシビアな省エネスタンダードは、ドイツ、オーストリアで大きく普及し、2011年までにはEUの新築住宅のスタンダードになるとされています。近年ではEUとは気候の異なるアメリカや韓国でもパッシブハウスの建設が試みられており、近い将来に世界スタンダードになると言われている程です。パッシブハウスを名乗ることができるのは、床平米当たりの一次エネルギー消費量および冷暖房負荷、そして気密性能の条件を満たした住宅のみです。“パッシブ”という言葉は、太陽エネルギーをパッシブに利用する手法として日本でも用いられてきましたが、それは英訳するとPassive Use of the Solar Energy(太陽エネルギーのパッシブ・ユース)と呼ばれ、ドイツ発祥のPassive Houseとは異なる定義です。

 

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設計事務所Kaufmann Architektは1985年に設立され、1999年に新事務所+住宅をパッシブハウス仕様で設計し、入居。

 

建物の半分に地下室を有し、こちらが暖房領域から外れているために、一階床をあえて木造で建設、充填断熱でスラブの厚みを最小限にとどめた。一方2階の床はRC造、建物の蓄熱性能を向上させるために採用された。
3つの設計事務所が一階の600m2(パッシブハウス仕様)を占有、2階には4つの住宅ユニットが合計400m2分(低エネルギーハウス仕様)、そのうちの一つに事務所の創設者カウフマン氏も居住している
施工費はおよそ110万ユーロ(坪単価47万円相当)の超ローコスト・パッシブハウスである。もちろん内装や外装の材は基本的に合板の現し仕上げ、設計事務所として自ら実験的な試みを行っているとのこと。正直なところ、カビがたくさんの外壁となっていて日本人には許容できない範囲かと思われますが試みとしては興味深い・・将来解体して焼却した際有害な物質を出さないなど建物の行く末も考慮して環境的見地から設計されている

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2階のバルコニーの手すりには太陽熱温水パネルが取り付けられ、給湯を賄っている。手すり兼温水パネル、理にかなっていて合理的で違和感がない納まりに仰天!

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森みわさんと給気口。これだけ大きな給気口で給気して、地熱交換(アースチューブ形式)で室内に取り込まれる。直径30cmのダクトが6本、地中を通って熱交換換気装置におくられる。必要な暖房はガスボイラーが給気ダクトのコイルに熱を伝える。またガスボイラーは太陽熱温水器のトップアップも担う

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設計事務所Kaufmann Architektのオフィスの様子

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どこかでやりましたが・・外壁ポスト

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天井を見上げる、納まりがシンプル!カウフマン流造作家具といったところ
ヘルマン・カウフマン プロフィール
大工の家系として1955年オーストリアのVorarlberg に生まれ、インスブルック工科大学、ウイーン工科大学にて建築を学ぶ。1983年にクリスチャン・レンツ、エルマー・グマイナーとともに共同オフィスを設立。1986年から1993年までヘルムート・ディートリッヒが共同オフィスに加わる。2002年よりミュンヘン工科大学木造建築学科教授。2007年「Global Award for sustainable architecture」受賞。

 

とある村役場の図面を見せていただく私たち一行、この村役場も魅力的なパッシブハウスでありまして・・(続)

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