建築事例

事例詳細

完成して20年以上!太陽熱を利用した吉祥寺の家

 

1995年に完成した「吉祥寺の家」がweb マガジン「100%LIFE」掲載中!!完成した直後にはテレビ朝日の「渡辺篤史の建もの探訪」にも取り上げられた地下室のある太陽熱を利用した住まい。20年以上が経った今のイキイキ空間から紹介♪

 

<web マガジン「100%LIFE」より転載>

 

 

1・2階にまたがった変形の大きな出窓が印象的な外観。真っ赤な玄関扉と上部の丸窓によって、楽しげな表情のエントランスに。

場所 東京都武蔵野市 竣工 1995年
用途 一戸建ての住宅 工期 9カ月
構造 地下1階地上2階 施工 相羽建設株式会社
木造+コンクリート造3階建て 特徴 敷地が22坪の狭小敷地
敷地面積 74㎡ 22坪 延べ面積が25坪以下コンパクト
延べ面積 106㎡ 32坪 地下のある家
OMソーラーの家

 

 

 

 

住みたい街NO.1の吉祥寺に家を建てる

 

吉祥寺駅北口の商店街「サンロード」を通り抜けて少し歩くと、賑やかな駅前からは一転して、閑静な住宅街が現れる。その一角に建つ、真っ白な壁に大きな出窓、真っ赤なドアが目をひく家が、出版社を営む佐久間憲一さんの自宅だ。

この家に暮らすのは、3人と2匹。憲一さん、妻の裕美さん、娘の緋子(あかね)さん、そして猫のみるくとくるみが、地上2階地下1階の3フロアに暮らしている。

佐久間邸が建ったのは、今から20年前の1995年。それまでは三鷹の賃貸マンションに暮らしていたが、バブルがはじけて不動産の価格が下がってきたのを契機に、物件を探し始めたそうだ。「マンションや建売住宅を何軒見て回ってもピンと来ないので、じっくり土地を探して好きなように建てようということになりました。そこで、三鷹を中心に何十カ所も土地を見て回りました」(憲一さん)。

そんな時に見つかったのが、吉祥寺駅から徒歩7、8分という抜群のロケーションのこの土地。「吉祥寺だから高いかなと思ったのですが、20坪とコンパクトだったのでそれほどでもなかった。私たちが見に行ったら別のお客さんも来ていて、取られないうちに(笑)と思って購入を決意しました」(憲一さん)。

1・2階にまたがった変形の大きな出窓が印象的な外観。真っ赤な玄関扉と上部の丸窓によって、楽しげな表情のエントランスに。

 

玄関扉を赤にしたのは、赤が好きな裕美さんの希望。丸と三角をモチーフにした明かり採り窓は建築家のアイデア。

玄関扉を赤にしたのは、赤が好きな裕美さんの希望。丸と三角をモチーフにした明かり採り窓は建築家のアイデア。

玄関内側のノブには猫の形をした鈴が。

玄関内側のノブには猫の形をした鈴が。

建築家との不思議なご縁

 

憲一さんは、家を建てると決めた当時のことを「性分というか仕事柄というか、月に何冊も建築雑誌を講読して、夢中になって建築について勉強しました」と振り返る。その中で、設計を依頼したいと思った建築家は4人いた。その4人に会いに行こうと思っていた矢先、建築雑誌に連載を持つ知り合いが5人の建築家を推薦してくれたのだそう。佐久間夫妻の好みを把握したその人が挙げてくれたのは、憲一さんと同じ4人と、「もう1人」だった。

その「もう1人」こそが、後に佐久間邸の設計を担当することになる、TAU設計工房の小宮成元さんだった。事務所の住所を調べてみると、なんと購入した土地の目と鼻の先。「ご縁を感じて、すぐに会いに行きました。この土地のことをよく知っていたし、とても感じがいい方で、妻と2人で小宮さんに頼もうと決めました」(憲一さん)。

家づくりを始めるにあたり、憲一さんが作成したのが、自分たちの暮らしのスタイルと新居への要望をまとめたレポート。そこに盛り込んだ内容は、①限られた土地でも広く感じること、②人を招きやすいこと、③十分な採光、④部屋を細かく区切らずに家族の気配を感じられる間取り、⑤本の収納場所の確保、だった。

それを受け、建築家の小宮さんはすぐに模型を作ってきてくれたそう。「その模型が素晴らしかった。今の家の形が、ほぼ出来上がっていましたね」(裕美さん)。地下から2階までの空間がつながった、ユニークな佐久間邸のプランが、その時に生まれた。

 

玄関を入ると、2階と地下へ続く階段が。南側の大きな傾斜窓からたっぷりと日差しが差し込む。構造上どうしても必要だった柱は、裕美さんの好きな赤に塗った。

玄関を入ると、2階と地下へ続く階段が。南側の大きな傾斜窓からたっぷりと日差しが差し込む。構造上どうしても必要だった柱は、裕美さんの好きな赤に塗った。

 

 

琉球畳の1階。夜はここにふとんを敷いて寝るそう。壁一面には造り付けの本棚が。

琉球畳の1階。夜はここにふとんを敷いて寝るそう。壁一面には造り付けの本棚が。

2階はリビングダイニング。キッチンスペースをグレーのパーティクルボードで仕切っているのが面白い。変形のダイニングテーブルはTECTAのもの。テーブル上の照明はヤマギワで購入。どちらも20年間ずっと使っている。

2階はリビングダイニング。キッチンスペースをグレーのパーティクルボードで仕切っているのが面白い。変形のダイニングテーブルはTECTAのもの。テーブル上の照明はヤマギワで購入。どちらも20年間ずっと使っている。

使い込まれたキッチンには、鍋などが使い勝手よく配置されている。時計下の写真は、マンションにいた頃から飼っていた先代猫のこばん。

使い込まれたキッチンには、鍋などが使い勝手よく配置されている。時計下の写真は、マンションにいた頃から飼っていた先代猫のこばん。

キッチンに立つ夫妻。ご夫婦で料理を楽しむことも多いそう。

キッチンに立つ夫妻。ご夫婦で料理を楽しむことも多いそう。

地下の湿気対策のためOMソーラーを導入

佐久間邸にはOMソーラーと呼ばれる、太陽エネルギーを有効利用するシステムが導入されている。屋根で太陽熱を集めて暖めた空気を、冬は暖房に、夏はお湯をつくるのに使う。

当初から夫妻は3層構造を希望していたが、立地的に3階建てが無理だったため、地下をつくることに。地下の湿気対策として小宮さんが提案したのが、OMソーラーシステムだった。「私も建築情報を調べるなかでOMソーラーのことは知っていたし、いいなあと思いました」と憲一さん。「正解でした。地下に湿気はこもらないし、冬場はとにかく暖かいんです。真冬でも、朝寒くて布団から出られないということがない。夏場はガス代がかなり安くなりますよ」と裕美さんが教えてくれた。

地下にも階上からの光が届く。ひんやりしているが湿気は感じない。地下にあるクローゼットの中の服がかびたことは一度もない。

地下にも階上からの光が届く。ひんやりしているが湿気は感じない。地下にあるクローゼットの中の服がかびたことは一度もない。

ル・コルビジェのソファでくつろぐ猫。家の中のどこにいても暖かいので、猫たちも幸せ。

ル・コルビジェのソファでくつろぐ猫。家の中のどこにいても暖かいので、猫たちも幸せ。

OMソーラーの床吹き出し口。暖気はゆっくりと室内に流れ込む。

OMソーラーの床吹き出し口。暖気はゆっくりと室内に流れ込む。

地下には、書斎スペースと娘の緋子さんの部屋が。手前の大きな天体望遠鏡は憲一さんの趣味。

地下には、書斎スペースと娘の緋子さんの部屋が。手前の大きな天体望遠鏡は憲一さんの趣味。

家族の歴史に寄り添ってきたモノたち

家具や雑貨の好みが似ているという夫妻。家を建てる前には、ご夫婦で家具店や展示会巡りをたくさんしたそうだ。

「椅子はマンションに住んでいたころからずっと好きで、たくさん買ってきました。20年以上使っているものが多いかなあ」と憲一さん。室内にはご夫婦で選び抜いた椅子たちが、そこかしこに置かれている。

WOOD YOU LIKE COMPANYの「スターウォッチングチェア」。奧は、イギリスの建築家マッキントッシュの「ヒルハウスチェア」。

WOOD YOU LIKE COMPANYの「スターウォッチングチェア」。奧は、イギリスの建築家マッキントッシュの「ヒルハウスチェア」。

ご家族揃って猫好きの佐久間家。いたる所に猫の小物が。

ご家族揃って猫好きの佐久間家。いたる所に猫の小物が。

ル・コルビジェの名作「シェーズロング」は1階の窓際に置かれて存在感を放つ。

ル・コルビジェの名作「シェーズロング」は1階の窓際に置かれて存在感を放つ。

憲一さんの一番のお気に入りは、木工作家がつくったこちらの椅子。「やっぱり木の椅子っていいですよね」(憲一さん)。

憲一さんの一番のお気に入りは、木工作家がつくったこちらの椅子。「やっぱり木の椅子っていいですよね」(憲一さん)。

また、ご夫婦揃って料理もお酒も好きという佐久間邸には、食器も豊富に揃う。食器棚からは次々と、バカラのアンティークグラスや、100年以上前の古伊万里が出てきて、まるで宝箱のよう。「いい食器はもったいないからとっておくのではなく、普段から使おうと思っています。もっとあったんですけど、割っちゃったのも多いんですよ(笑)」と裕美さん。「ビールもワインも日本酒も、本当にいいグラスで飲むと美味しいんです」と憲一さん。2時間くらいかけてゆったりと夕食とお酒を楽しむこともよくあるそう。家族の歴史を語るモノたちに囲まれた、遊び心あふれる住まい。これからも、この家とともに一家の思い出が刻まれていくのだろう。

佐久間家の古伊万里コレクションのほんの一部。「骨董にはまったきっかけは蕎麦猪口。蕎麦猪口でお茶を飲むのも楽しいですよ」(憲一さん)。

佐久間家の古伊万里コレクションのほんの一部。「骨董にはまったきっかけは蕎麦猪口。蕎麦猪口でお茶を飲むのも楽しいですよ」(憲一さん)。

凝ったデザインが美しい、バカラのアンティークのグラス。100年以上前の貴重なグラスも普段使いするそう。

凝ったデザインが美しい、バカラのアンティークのグラス。100年以上前の貴重なグラスも普段使いするそう。

ちゃぶ台は木工作家早川謙之輔さんの作品。水目桜の拭き漆加工で、驚くほど重たい。以前、憲一さんが早川さんの本を出版した際の記念に注文して作ってもらったそう。上に置かれたのはインドで買ったもので「お坊さんの鐘かな?」。澄んだ音がする。

ちゃぶ台は木工作家早川謙之輔さんの作品。水目桜の拭き漆加工で、驚くほど重たい。以前、憲一さんが早川さんの本を出版した際の記念に注文して作ってもらったそう。上に置かれたのはインドで買ったもので「お坊さんの鐘かな?」。澄んだ音がする。

マンション時代は置けなかったピアノを、裕美さんの実家から持ってきた。「一度オーバーホールして弦を張り替えています。きちんとメンテナンスすれば100年もちますよ」と裕美さん。ピアノの奧は、両側を本棚に囲まれた秘密基地のようなスペースになっている。

マンション時代は置けなかったピアノを、裕美さんの実家から持ってきた。「一度オーバーホールして弦を張り替えています。きちんとメンテナンスすれば100年もちますよ」と裕美さん。ピアノの奧は、両側を本棚に囲まれた秘密基地のようなスペースになっている。

 

 

 

sakuma2  「太陽熱を利用した都市型住宅・吉祥寺の家」

竣工1996年
木造地下1、地上2階 敷地20坪
施工:相羽建設(株)
-地下が猫のお気に入り、OMソーラーハウスの家-
テレビ朝日「渡辺篤史のたてもの探訪」放送作品

 

 

 

 

 

様々なメディアで紹介されました!!

 

TV 「渡辺篤史の建もの探訪」放送

 

 

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WEBでも

 

 

 

 

雑誌も多数紹介されました♪

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「新しい住まいの設計」6月号 発行:扶桑社 「住まいの設計アーカイブvol.20」

 

敷地20坪強、建蔽率50%の吉祥寺の家では、ワンフロアが11坪程度。だから間仕切りは水周りなど最低限に抑え、ワンフロア・ワンルームが構成の基本だ。各階のワンルームが階段の吹き抜けでつながっているから、上階下階の音が良く聞こえる。階をまたいだ大きなワンルームといってもいい。

個室にこもりたい人には、確かに居心地はよくないかもしれない。だが、「家に居るときにひとりになりたいとは思わないし、全然気にならない」夫妻にとってはむしろ楽しい特徴。急勾配の屋根に設置されたソーラーパネルで暖められた空気が地下のダクトから排出されて室内を適度に暖めるのも、家全体がワンルームの構成ゆえだろう。
(新しい住まいの設計より抜粋)