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2005年11月14日
「北側斜面の家」コンペ応募編
東京TAU・最近の住宅物件を紹介。「北側斜面の家」コンペ応募編
最近ではWEBを利用した住宅設計コンペの物件が増えており、この物件は初めて住宅設計コンペに応募した作品である。住宅を建てたい方が、応募の条件を設定し、複数の建築家等のアイディアを求めその中から気に入った案を決定するという方式。私共設計側から見るとある程度のリスクを伴うが、それを承知で初めて挑戦した物件である。
WEB上に出されていた敷地写真や条件を見て、何か突き付けられているものを感じたからが理由ですが・・
敷地の写真・高低差10mの北向きの斜面

応募条件
◆家族構成
夫婦、子供2人(共に成人で別居しているが個室を要望)
◆希望条件・要望
建物、外構(カルバート駐車場、北東・南西の斜面の処理を含む)一体で要望。
外観はシンプルかつ重量感を感じさせる。内部は洋風に和を感じさせる。
清潔が容易に出来ること(カーテンを開けっ放しにして庭や光の揺らぎを見るのが好き)。
広がりを感じさせること。
また、「要望」として、以下のことを加えていただきたくお願いいたします。
1、建物は三階建て(一階に夫婦の寝室・ウォーキングクローゼット、多目的ルーム、和室、ミニキッチン、トイレ、二階はパブリックスペース、三階を個室2部屋ー広めのワンルームでも可)。
2、地形・自然災害対策として、一階部分はRC構造を希望。
3、南西道路側に斜面を生かした内庭を要望(樹木は費用に含めず)。
4、一階多目的ルームー床暖房、壁面に書棚を希望。
5、台所設備・浴室・洗面台は市販のものを希望しない。
6、ベランダの床面はFRPを避ける。
7、室内側が木製の窓を希望。
◆要望イーメージ
多目的ルーム(趣味--油絵・日本画や読書・パソコンなどをする。書物がかなりある)、収納場所が充分に欲しい。多目的ルームのそばに和室及びミニ台所。
ゆったりとした食堂(会話・団欒は主に食堂でする)、個室はすべて洋室。
家事室、バリアフリー、廊下や階段・出入口は幅を広めに。
ハイビスカスを植えておきたいので冬季のみ温室として使用できるスペース。
まずは結論から紹介、当初の提出した応募案のイメージCG。

実はこの案上記の要項を一部満たしていない。
WEBコンペというものは、通常の物件と異なり、当然応募時は一度も会った事のない人の住宅を考えている事となり文字だけで想像を膨らませ、案を作成する。文字の真意やニュアンスのようなものは想像するしかない世界。この作品で私どもが伝えたかった事は、要項に書かれてあった文字を一度切り離し、高低差10mのこの独特な敷地に対する建築の可能性の模索である。

敷地の魅力を最大限引き出すために、どこに建物を建てるか、これが問題であった。
敷地中央の造成した平らな場所に3層の住宅を建てるのではなく、この平らな部分にこそ広場のようなものを作り、これと北側の絶景を取り込んだ中庭式の低層住宅を提案してしまった・・勝手にイメージを膨らませCG、スケッチ模型等作成。この案に対する情熱を込めて応募案をまとめる。

コンペ形式では当然リスクの方が大きく、基本的にたった一つの案を除いて後は全て落選する。(たまに優秀案なし!なんて事もある程)まして、一部要項と異なる建物を提案している訳で、通常ならばここで話が終了するのだが、今回だけは縁があった!!
何て案だと切り捨てられたかと思った矢先に、「会って話をききたい」とコンペ主催者から連絡が入る。この後、結局案は予想しない方向へと進んでいくのですが・(続)
投稿者 小宮歩 : 09:30
2005年11月19日
「北側斜面の家」コンペ勝利→実施編
通常の物件と順序が異なるが、第1回打ち合せである。お見合いのような気分で指定された場所での顔合わせ。そしてじっくりと我々の提案内容を説明し、ご要望を確認する。要綱と異なる提案にも関わらず、全体のデザインの独創性を評価して頂き、本当に有難い事です。(この時点で26案出された中から3案に選出)
私共の仕事の進め方で重要な事は、お施主さんとのコミュニケーションであり、会話のキャッチボールをしながら計画案を洗練させていく手法を取っている。今回もお話を聞いていて、やはり建物の形態を変更していった方が良いと判断。このあたりも柔軟に考えるのが私共の設計の特徴で、初めからコンセプト重視とか、頭でっかちにはやりません。前提条件の整理を経て、後は柔軟に案を作成するのであった。
ただ、ここの時点で私共の提案はさせて頂く。例えば、ソーラーシステム導入や斜面と建物の関係等についての考え方など・・敷地のイメージから様々な提案をしていく。
そして様々な検討を経て、模型を作成、たまたまですが、見事最終案として選出して頂きました。ここで最終的に3階建ての建物となりましたが、重要な事は「2階から3階へと建物の形態は変化したが、敷地に対する建物のあり方等目指している事は共通しているのだ」という事。・・これだけは言いたい。

内部模型やCGを作成、やはりお施主さんとキャッチボールを繰り返してイメージを洗練させていく。
外断熱、アルミクラッドサッシ(外側アルミ+内側天然木)、チーク無垢材の床、珪藻土の壁、これまでの経験から新しい手法で洗練させたソーラーシステム・・・


過去のソーラーの物件をご案内し、その快適性を体感して頂き設備的な方針を固める。また、配置やプランの検討と同時にインテリア、仕上げ材料等詳細の検討を重ねる。意匠的なものだけではなく、一方で構造的な検討、照明、外構、キッチン等の検討、様々な専門分野のデザイナーを巻き込んでの計画です。その物件ごとに手だけではなく、足を使い、様々な角度で視点で意見が出るような体制で設計作業を進めています。
下記は照明計画イメージCG

また、計画途中に工事予算の概算見積を取る事もしばしば。予算とのすり合わせも重要なことで、協力して頂ける工務店、お施主さん紹介の工務店等に依頼する。どこに金額をかけるのかアドバイスしております。
これは予想していなかったのですが、案の検討途中に某番組から取材の依頼がくる。設計打ち合わせから建物完成までの取材。結果的にこれはお断りしたのだが、WEB上でオープンにされるコンペ住宅物件ならではなのかもしれない・・
そしていよいよ来年初めから着工である。描いたものを実際に創り上げるという最も大変な工程へと進んでいき、2006年12月の完成を目指している。
コンペの経過はこちら
http://www.kentiku-web.com/compe/kekka/106kasiwa/106.htm
投稿者 小宮歩 : 16:00