2008年09月28日
キッチンが真ん中の家
現在工事中の「名古屋の家」も完成間際ですが、その前に九州は福岡県福津市、あけぼの東福間団地にて今春に完成した新築木造住宅「キッチンが真ん中の家」をご紹介。

設計のテーマ
●1階ど真ん中「キッチン」でつながる家族の輪!
●でっかい大黒柱、無垢材による自然素材たっぷりの家
●スッキプフロアによる適材適所の立体的な収納
●太陽光発電、高機能ガラス、オール電化による省エネルギー
キッチンが真ん中の家
竣工2008年
新築、木造・2階
施工:辰巳住研(株)
-キッチンを真ん中に配置して家族がつながる家-
通常設計主旨している「光と風」、「地震に強い」、「健康素材」、「省エネルギー」、「家具や可動間仕切りによるフレキシビリティー」は当然のことで、今回は更に滞在時間が多い奥様にとって使いやすい空間(部屋)の連続性、構成に検討の時間を割いた。

通常キッチンは火等を使うので直接外気に面した場所へ置かれる事が多いが、今回は物理的な意味で、建物の1階ど真ん中にキッチンを配置。その代わり、上部にルーフデッキと吹き抜けを設置して、排気ダクトルートを考え、1階中央の最も暗くなる部分に光と風を入れる設計とした。たんに調理する場だけではないキッチンのあり方を模索している。


ダイニングより真ん中キッチンを見る。右に和室、左奥に玄関ホールがある。キッチン上部には光と風をもたらす吹き抜けがある。

無垢の床板材、珪藻土、エコクロス等自然素材に重きをおき、吹き抜けのある開放性の高いリビング空間とした。左のでっかい無垢の「大黒柱」が吹き抜け空間を演出している。

キッチンの奥に水周り、そして勝手口・・

キッチンより玄関ホール側をみる。

玄関ホール。スチールの半分螺旋階段が上下階を結んでいる。玄関ホールとキッチンは壁ではなく「家具」で仕切られている。壁のような家具を 建築的「家具」と呼んで様々な場面にあった形で置いている。アイディア家具についてはこちらの特集をぜひご覧いただければ!

和室をみる。右の窓はキッチンに通じている・・。

夜景の様子より。アプローチには蓄光タイルを初めて採用。ほのかに光るおしゃれなアプローチ空間に。
太陽光発電パネル搭載したシンプルな片流れ屋根のある門型の家。2階は傾斜屋根を利用したスキップフロアで立体的な収納も設置。2階の様子は又後日。なお、現地にて現在公開中です、お問い合わせは辰巳住研(株)へ。
投稿者 小宮歩 : 00:00
2008年09月29日
ルーバー格子で囲われた中庭のある家
ルーバー格子で囲われた中庭のある「八潮の家」(新築、木造+RC造の3階建)」をご紹介!!

外観の様子より。
設計のテーマ
●白を基調としたシンプルモダンなデザイン
●格子で囲われた半分開いた中庭(2階デッキ)のある家
●傾斜壁を沿ってトップライトからの採光で明るい吹抜けのある1室空間
●混構造(木造+RC造 ※インナーガレージのため1階をRC造に)
■八潮の家物件データ
竣工2006年、新築RC+木造・3階
敷地面積:96㎡(約29坪)
延べ面積:47㎡(39坪)
建築費:約3000万
家族構成:夫婦+子1人
施工:大勝建設(株)
キッチン:エスエスアイ
発売中の「別冊美しい部屋・30坪以下の土地に理想の家を建てる」(主婦と生活社)にも掲載中!!完成後の現在の様子も雑誌よりUP!!生き生きした生活の様子が伝わる・・

テラスを挟んでダイニングとリビングが配置されている、テラスやトップライトから光が降り注ぐ為明るく、窓越しに家族の姿が確認できる。仕切りをなるべくなくし、住まい全体をいったい空間にした。

キッチンの様子より

デザイン性&使い勝手の良さを追求したオリジナルキッチンの様子。「アマダナ」のオーブンレンジが違和感なく収め、窓の外には緑が見える。

キッチン上部には部屋があり空間が繋がっている。

斜めの壁に沿って、トップライトから降り注ぐ光!!中庭からの通風採光とあわせてとても明るい空間に!!

ルーバー格子に囲われた中庭に開く住空間の構成。中庭はFRPグレーチングの床で、1階にも光を落とす。

リビングから3階寝室と天井を見上げる。「寝室で寝ている子どもが泣き出したらすぐに気づくので助かってます」と奥様。
最上階の居室部分の様子。上からの明るい光、吹き抜けにより下階のLDKと繋がっている。

壁一面収納のある寝室。収納の手前にあるカーテンを手前に引くと個室として利用可能!!

1階から3階まで上下階を結ぶ鉄製の半分螺旋の階段。軽やかなデザインは光を1階まで落とす。

中央格子部分は、アプローチ→玄関→螺旋階段へと奥に進むに従って、横幅が狭くなり遠近感が生まれる。分かりやすく言うと「ハの字型」をしており内から外へ進む際の開放感にもつながっている。足元にはマリンランプの演出。

1階のインナーガレージの様子。愛車の「Alfa Brera」とサーフィンの道具が収納され、男の隠れ家に!!

同じく1階の居室の様子。


水周りの様子より。
撮影日のひとコマより
投稿者 小宮歩 : 21:00
2008年10月02日
思わずでんぐり返しの家
完成した住宅作品(新築編)プレイバック!!健康住宅の原型「思わずでんぐり返しの家」!!

1階LDKの様子より

「思わずでんぐり返しの家」
竣工2007年
新築木造・2階
敷地120平米(36坪)
延べ面積90平米(27坪)
施工:相羽建設(株)
■設計主旨
・光と風を考えた住まい(単純に快適、採光と風通しが全てと言っても過言ではない・・)
・ライフスタイルの変化や社会の変化に対応できる住まい
(将来家族構成が変わるかも、この家も2世帯になります)
・オープンな間取り、シンプルな動線の確保
(始めから細かい間取りで創りこむというのはちょっとどうでしょうか・・)
・自然素材・再生素材の採用(生活臭をまったく感じない呼吸する仕上げ!等)
今回は「健康住宅」+「2歳のちび」で紹介していきたいと思います。


外観の様子。黒のガルバリウム鋼板による仕上げだが、玄関部分が一部引っ込んでいる。外観のアクセントと共に、この引っ込んだ部分に面して開口部をあけて、2階の居室や納戸の採光通風を確保している。都市部にあるため、少し引っ込ませて開口を取ることで、プライバシー確保も意図している。

引っ込んだ部分の解説平面図。1階、2階の全ての部屋に採光、通風をもたらす工夫の一つ。
■フレキシブルな空間!!

最初から細かな想定をして、使い方を限定した小さい空間(部屋)をたくさん作るのではなく、シンプルかつ機能的な大きな空間(部屋)をつくって、使い方にあわせてそれを仕切って利用できるようにしようという考え方です。
又そのシンプルな大きい空間をできるだけ高性能にしておきたい、高性能と言っても過度な設備投資ではなく、構造的な事は当然として、光や風を考え、なるべく自然の素材でつくられた理屈抜きの気持ちの良い場所にしたいと考えております。だまってても子どもが踊りだすような場所・・(少し意味不明ですが)を目指しているのです。

可動建具を全て仕切った状態。
2つの可動間仕切り(4枚引戸)により、独立性の高い空間が3つできる。寝室または客間として利用したり、吹き抜け部分を仕切ることで冷暖房の効率をあげたり様々な用途に合わせてフレキシブルに利用して頂くことが可能。

可動式建具をあけるとオープンなLDKとなる。ちなみに可動式建具は天井までいっぱいの大きさで垂れ壁をつくらず、金物の引き手も無い、すっきりとしたデザインにしている。
全てあけるとワンルームとなる。普段はこの状態。夏は風が抜け、冷房が不要なくらいだと思われる。

■仕上材料にはもちろん自然素材を採用している。床はサクラの無垢フローリング、壁は珪藻土、天井は紙貼り。建具の枠、巾木、家具等も無垢の杉材を加工したもの。自然塗料で仕上げている。
床は無垢のパインフローリング、壁は珪藻土、天井は紙貼り(月桃紙)の自然素材の家。


やはり2階も大きな空間をつくって、可動間仕切りで仕切って利用する。

↓

外での洗濯物干しが大好きなお施主様のためにバルコニーを複数設置。南側だけでは一日中陽があたらないので、西側にもミニバルコニーをつくった。太陽光を一日中捕まえられる家にもなっている。

西バルコニーを背に座ってひなたぼっこ・・。
バルコニーへの大きなサッシには両方ともシャッターがついているので防犯上も安心。

工事中にお施主様に何度も現場に足を運んで頂き、「あーでもない」、「こーでもない」を繰り返し、打合せを重ねてつくった。関わった人みんなで一緒に作り上げた家。光と風の中で何にもしなくても子どもが楽しそうな(踊らなくてもよいですが・・)家づくりを目指している。
投稿者 小宮歩 : 00:00
2008年10月07日
ソーラーハウス「吉祥寺の家」
過去の作品の中から太陽熱を利用したパッシブソーラーハウスをご紹介!!パッシブソーラーとは?と思う方は中段に説明を入れております。ぜひご覧いただければと思います。
今年6月に雑誌「新しい住まいの設計」6月号(扶桑社)に「あれから13年・・・」というコーナーで掲載された「吉祥寺の家」。竣工から13年が経った今、この家がどうなったのか・・?をテーマに紹介して頂きました。

「新しい住まいの設計」6月号(扶桑社)
吉祥寺の家
竣工1996年
木造地下1、地上2階 敷地20坪
施工:相羽建設(株)
-地下が猫のお気に入り、ソーラーハウスの家-
テレビ朝日「渡辺篤史のたてもの探訪」放送作品

グーグルストリートビューより外観写真を。
この家は私どもにとっても初めてのパッシブソーラーハウスで試行錯誤しながら完成した家。この家を施工した相羽建設さんは今では東京で一番多くOMソーラーを建てる工務店(全国でも3番目くらい)になった。相羽さんともこの後何件もソーラー住宅を造っていきましたがその「きっかけ」になった作品。この家は私どもの事務所のすぐ近くにあり、ソーラーハウスを建てたい!というお施主さんを連れて体感させて頂く等御施主様にはいろいろな面で御世話になっています。ありがとうございます!!!
建物内部の様子から・・

2階リビングの様子。記事にもあったように建物全体が一つのワンルーム空間となっていて思い切って階段室を南側に配置していることが最大の特徴。南はリビングで・・階段は奥の方という設計が一般的だと思いますがあえて南側階段をやっています。
その理由は、階段室を個別にとると部屋の面積が小さくなっていってしまうからです。2層以上のたてものだと必ず出てくる階段! 階段を作るとホールがあり廊下がありこれらに面積を取られるのが惜しいから。階段を部屋の一部として積極的に利用しております。階段室との可動建具をあけていただくと一体になり拡がり感が得られる。逆に仕切れば個室になるという手法です。
そしてもっと大きな理由は御施主様の仕事柄どうしても必要な地下の書庫のため・・・当然光を地下まで届けたいのも理由ですがもっと大きな目的がありまして・・

1階主寝室と奥に階段空間。階段室との可動建具の様子。必要に応じて開け閉め!!
御施主様の仕事柄、大きな書庫が必要だった。しかし1,2階は寝室水周りとリビングでいっぱい。そこで地下の緩和を利用して地下に書庫及び書斎をつくりました。普通に地下をつくるとドライエリアが広く取れないためジメジメした印象のかび臭い部屋になってします・・・そこで提案したのがOMソーラーだった!!
ちょっと説明、パッシブソーラー、OMソーラーシステムの仕組み(冬)
OMソーラー協会HPより冬は、屋根に降り注ぐ太陽の熱で空気を温め、それを床下に送り、基礎コンクリートに熱を蓄えます。蓄えた熱は、夕方以降ゆっくりと放熱して建物全体を床から温めます。また、OMソーラーシステムが稼働している間は、常に新鮮な外気を室内に取り込んでいます。暖房しながら換気ができるという点も、冬の働きの大きな特徴です。
軒先から新鮮な外気を入れ、それを屋根に降り注ぐ太陽の熱で温めて床下へ送ります。床下へ送られた空気は、基礎のコンクリートを温めながら、室内へ微風となって出てきます。夕方になると、熱を蓄えたコンクリートが外気温の低下とともに少しずつ放熱をはじめ、建物全体を床から温めます。
春から秋は、太陽の熱でお湯を採る。
春から秋にかけて、太陽の熱を利用して「お湯採り」ができます。「お湯採り」とは、熱い空気がハンドリングボックス内のお湯採りコイルの中を循環する不凍液を温め、温まった不凍液を貯湯槽へ循環させて水を温めるしくみです。お湯採りに使って余った熱は、排気ダクトを通り、排気口から外へ出します。屋根面の下を強制排気すると、排熱された量に比例して、室内に入りこむ日射熱を減らすことができます。
(OMソーラー協会HPより抜粋)
階段室南側配置の最大の理由はOMソーラーだった。地下から2階までの空気の流れを設計しました!!・・・と言ってもよく分からないかもしれないので、この階段室、改め吹き抜け階段室の役割を順を追って説明
屋根の集熱パネルの様子

ガラス面の下の空気層が太陽熱によって暖められる。そして小屋裏に性能の良い換気扇(ファン)がついていて暖めた空気を地階へ送る!!というシンプルなシステム。水ではなく空気を媒体としているため漏れたりしても大丈夫(漏れることはないが・・)

地下の書庫の様子。足元のスリットから太陽熱で暖められた空気が吹きだしてくる。(吹き出すといっても微量です、手をかざすと出ているのか分からない程度の暖気)。湿気を嫌う猫ちゃんがいつもいるくらい湿気くささはまったく感じない。当然本にカビ等も生えないし10年以上経っても心地よい地下の書庫でした!!

南側に向いた吹き抜け階段室を通って地下から吹き出た空気は2階へ空気が上がってくる・・つまり階段室を通して空気が循環していくんです。南側に向けると昼間は温められてその効率が良い。よく見て頂くと段板に穴があいている。これは飾りではなく、滑り止めの役割と空気を少しでも上方へあげたいため。

上方へあがった空気は一部を捨てて、一部を地下にリターンして循環している。地下の足元と2階の天井の空気温度が一定で快適な住空間をつくっている。ソーラーハウスの快適さは体感していただくしか分からないと思います。ただし暖房ではなく、外気温より数度あったかいというもの。温い(ぬくい)という感覚かな・・人によっても感じ方は異なると思いますがエアコンが嫌いな自然派の方ならとても気に入って頂けると思います。私どもの設計の住宅でも必ずつけているわけではありません(初期コストもかかるので)。自然エネルギーを利用する一つの方法としてはありだと確信しているだけです。
この家は、冬はTシャツ一枚でも大丈夫な日があるほど・・。ただし太陽が出ていない場合は補助暖房を利用しています。夏はお湯取りに利用することが可能です。その日の天気がもっと身近になる家ではないかと思います。
あと、細かいデザインをいろいろチャレンジしています。ギザギザサッシや家具階段はこの頃から創っていた・・・

(左)ギザギザサッシ。ただのデザインではなく小さな吹き抜けになっていてやはり空気を循環する役目があります。方角によって透明とカスミガラスを使い分けている。
(右)屋上への右左式階段(・・・後のビフォーアフター作品にもつながっていく)。コンパクトですが屋上もあり地下から屋上、そして空まで自分の空間として使っている!
13年後の現在の住まいの様子(新しい住まいの設計より)


地下は一度簡単なリフォームをしました(私どもの設計で)。リフォームと言っても個室を一つ増やすための家具、可動建具を設置した。「空間を大きくつくっておいて必要に応じて仕切って暮らす」ことを実際にされている思い入れの深い作品です。
OMソーラーの家が必ずしも良いとは思っていませんが、太陽エネルギー等自然エネルギーを積極的に利用して(簡単な換気扇一つのパッシブソーラー)快適に暮らすことはとても重要なことではないかと考えております。
このシステムを利用してつくった家がたくさんあります。半地下のスキップフロア型住宅、中庭型にして同じように空気の通り道を作った家、斜面の上に建つソーラーハウス、そして地上5階建ての共同住宅・最上階のオーナー部分にも設置したことがあります。ただOMソーラーをつければよいということではなく、建物全体の採光や通風、生活スタイル、敷地の環境条件を考慮し、数ある自然エネルギー利用の中の一つの方法として提案できればなあと考えています。
投稿者 小宮歩 : 00:04
2008年10月11日
紅茶サロンのある中庭のある家
完成した住宅作品より「中庭のある2世帯住宅」を紹介!!
この家のテーマは・・・
1.細長い形の敷地に中庭をつくって採光・通風を確保!!
2.2世帯の住み分け、1階は両親世帯、地下から2階を子世帯
3.ソーラーシステム搭載の自然エネルギー住宅
4.まちに開かれた紅茶サロンを!!


雑誌「室内」撮影時の様子
「中庭のある2世帯の家」
竣工2005年
木造一部RC造 地下1、地上2階
施工:相羽建設(株)
-まちに開かれた
紅茶サロンのあるソーラーの家-
05'「室内1月号(工作社)」掲載
細長い敷地形状、短辺が南向きの場合、南側のみにニワを作ってしまうと北側が全く日照の無い部屋になってしまいます。北側の部屋にも光と風が欲しい時の一つの解決方法は敷地中央に「中庭」をつくること!!そして、中庭にはシンボルツリーを植えました。

御施主様が紅茶のインストラクターで、まちに開かれた紅茶サロンを2階に作りました!!

「吉祥寺の家」同様、OMソーラーの家でもあります。地下から温い暖気が出て吹き抜けを通って2階へ・・・




取材終了後、とっても美味しい摘みたてのスリランカ・ウバ茶やケーキを御馳走になりました。摘みたてのスリランカ・ウバ茶やマスカットティーをぜひ一度!!
投稿者 小宮歩 : 14:00
2008年10月13日
設計コンペで建てた家!!
完成した住宅作品をご紹介!!今回は趣向を変えて計画中の様子から!!
住宅を設計する際、御施主様の考えをきき、生活スタイル等よく噛み砕いて理解して、敷地条件等の諸条件を整理して、イメージして→スケッチして→形にして・・提案して御施主様の意見をきいて→一部直して→又イメージして、スケッチして、形にして・・・を繰り返してつくっていっております。
今回ご紹介する「北斜面の家」は、たまたま公開コンペで選んで頂いた作品のため、その設計過程の一部が公開されております。設計コンペの様子を紹介・・・
■まずは設計コンペの提案から
最近ではWEBを利用した住宅設計コンペの物件が増えており、この物件は初めて住宅設計コンペに応募した作品です。住宅を建てたい方が、応募の条件を設定し、複数の建築家等のアイディアを求めその中から気に入った案を決定するという方式。私共設計側から見るとある程度のリスクを伴うが、それを承知で初めて挑戦した物件である。WEB上に出されていた敷地写真や条件を見て、何か突き付けられているものを感じたからが理由ですが・・
敷地の写真・高低差10mの北向きの斜面

応募条件
◆家族構成
夫婦、子供2人(共に成人で別居しているが個室を要望)
◆希望条件・要望
建物、外構(カルバート駐車場、北東・南西の斜面の処理を含む)一体で要望。
外観はシンプルかつ重量感を感じさせる。内部は洋風に和を感じさせる。
清潔が容易に出来ること(カーテンを開けっ放しにして庭や光の揺らぎを見るのが好き)。
広がりを感じさせること。
また、「要望」として、以下のことを加えていただきたくお願いいたします。
1、建物は三階建て(一階に夫婦の寝室・ウォーキングクローゼット、多目的ルーム、和室、ミニキッチン、トイレ、二階はパブリックスペース、三階を個室2部屋ー広めのワンルームでも可)。
2、地形・自然災害対策として、一階部分はRC構造を希望。
3、南西道路側に斜面を生かした内庭を要望(樹木は費用に含めず)。
4、一階多目的ルームー床暖房、壁面に書棚を希望。
5、台所設備・浴室・洗面台は市販のものを希望しない。
6、ベランダの床面はFRPを避ける。
7、室内側が木製の窓を希望。
◆要望イーメージ
多目的ルーム(趣味--油絵・日本画や読書・パソコンなどをする。書物がかなりある)、収納場所が充分に欲しい。多目的ルームのそばに和室及びミニ台所。
ゆったりとした食堂(会話・団欒は主に食堂でする)、個室はすべて洋室。
家事室、バリアフリー、廊下や階段・出入口は幅を広めに。
ハイビスカスを植えておきたいので冬季のみ温室として使用できるスペース。
■応募案(第1回提案):最初に考えたこと
結論から紹介、当初の提出した応募案のイメージCG。

実はこの案上記の要項を一部満たしていない。3階建てが要望だがあえて2階たてを提案してたり・・理由があるのですが・・。WEBからうかがい知れる想像で中庭型の敷地利用を考える。
WEBコンペというものは、通常の物件と異なり、当然応募時は一度も会った事のない人の住宅を考えている事となり文字だけで想像を膨らませ、案を作成する。当然敷地にも行けない条件。文字の真意やニュアンスのようなものは想像するしかない世界。この作品で私どもが伝えたかった事は、要項に書かれてあった文字を一度切り離し、高低差10mのこの独特な敷地に対する建築の可能性の模索だった・・。

敷地の魅力を最大限引き出すために、どこに建物を建てるか、これが問題であった。
敷地中央の造成した平らな場所に3層の住宅を建てるのではなく、この平らな部分にこそ広場のようなものを作り、これと北側の絶景を取り込んだ中庭式の低層住宅を提案してしまった・・勝手にイメージを膨らませCG、スケッチ模型等作成。この案に対する情熱を込めて応募案をまとめる。

コンペ形式では当然リスクの方が大きく、基本的にたった一つの案を除いて後は全て落選する。(たまに優秀案なし!なんて事もある程)まして、一部要項と異なる建物を提案している訳で、通常ならばここで話が終了するのだが、今回だけは縁があった!!何て案だと切り捨てられたかと思った矢先に、「会って話をききたい」とコンペ主催者から連絡が入る。この後、結局案は予想しない方向へと進んでいく・・・
■初顔合わせ→第2案へ
通常の物件と順序が異なるが、第1回提案後の第1回打ち合せである。
お見合いのような気分で指定された場所での顔合わせ。そしてじっくりと我々の提案内容を説明し、ご要望を確認する。要綱と異なる提案にも関わらず、全体的なデザイン、構想を評価して頂いた。(この時点で26案出された中から3案に選出)私どもの提案を踏まえた上で生活スタイルや今回の家作りに対する御施主様の率直な想いを直接きく。いろいろ協議する中、各空間の使われ方を考えると3階建ての方がベターだと方針が決まった。
私共の仕事の進め方で重要な事は、お施主さんとのコミュニケーションであり、会話のキャッチボールをしながら計画案を洗練させていく手法を取っている。今回もお話を聞いていて、やはり建物の形態を変更していった方が良いと判断。このあたりも柔軟に考えるのが私共の設計の特徴で、初めからコンセプト重視とか、頭でっかちにはやりません。前提条件の整理を経て、後は柔軟に案を作成するのであった。
ただ、ここの時点で私共の提案はさせて頂く。例えば、ソーラーシステム導入や斜面と建物の関係等についての考え方など・・敷地のイメージから様々な提案をしていく。
■試行錯誤の繰り返し・・設計者として選出していただく
そして様々な検討を経て、模型を作成、内庭という斜面を利用したニワを取り込み、眺望も取り込んだ案が完成!!たまたまですが、見事最終案として選出して頂きました。


■本当の設計はこれから・・・更に細かな打合せ&案の調整が続く・・
内部模型やCGを作成、やはりお施主さんとキャッチボールを繰り返してイメージを洗練させていく。
外断熱、アルミクラッドサッシ(外側アルミ+内側天然木)、チーク無垢材の床、珪藻土の壁、これまでの経験から新しい手法で洗練させたソーラーシステム、防犯性能を高める為の工夫等具体的に計画がまとめられていく。


■打合せを重ねる中で出てきた今回の設計のテーマ
1.高低さ10M以上の斜面、敷地環境を最大限生かす
斜面下へと続く眺望の取り込み、斜面の緑化し内庭として建物から見えるようにする等斜面環境をデザイン!
2.OMソーラーシステムの導入+外断熱+自然素材+断熱気密建具の採用等断熱気密性能の高い箱
3.防犯性能にもこだわる!!
4.オール電化で省エネルギー
北斜面の家・概要
所在地:千葉県柏市
構造・規模:RC+木造 地上3階 新築
用途:一戸建ての住宅
敷地面積:330㎡(約100坪)
延べ面積:164㎡(約49坪)
竣工:2007年
施工:(株)エム建築工房
公開中のコンペの経過はこちら
http://www.kentiku-web.com/compe/kekka/106kasiwa/106.htm
案がまとまり実施設計、確認申請許可取得、現場がスタートとなる。完成後の様子はまた次回・・・
投稿者 小宮歩 : 00:00
2008年10月17日
光溢れる階段が結ぶ4層の住まい「葛西の家」完成写真!!!
完成した住宅作品より「葛西の家」をご紹介!!
今回は都市部での2世帯住宅、鉄骨造3階建てのやや高層型の住まい。1階から屋上までの4層の住空間、光溢れるタテ動線・軽やかな鉄骨階段が結ぶ立体的な構成の住宅です。

「葛西の家」
鉄骨造3階建て
竣工2007年
施工:大勝建設
アプローチの様子

4層をタテに結ぶ鉄骨階段。

まずは1階の様子から順にご紹介・・
■1階:親世帯の間

バリアフリーで畳と洋室が連続。又すぐ横にはミニキッチンも併設されており、可動式建具で開閉して利用する。
■2階:みんなの間
共用のLDKと水周りがある2階部分。自然素材にもこだわった家具と一体の間。

LDを囲むように造りつけのベンチ式収納を設置。収納の問題は住宅の場合共通にでてくるが、今回はあえてベンチや吊戸として視覚化させている。

ベンチの一部は外部ウッドデッキへ連続していく・・・


キッチンよりLDK方向を見る。
キッチン流しより、階段部分を見る

又振り返ると窓の外にグレーチングの台をつくった。上部は花台として、下部はサービス(生ごみ等の一時置場)に利用していただく。これは専門的な言葉ですが建築面積がギリギリの中での、家事の細かい部分への配慮からつくった。
キッチンが真ん中の家も家事動線を中心に構成を考えたが、普段利用する方(必ずしも主婦とは限りませんが)に優しい設計が私どものモットー。建築家もいろいろなタイプがいらっしゃると思いますが、建築家の身勝手な自己満足型の設計とは一線を引いて、お客様との言葉のキャッチボールで物をつくるスタイルをとっております・・。
■3階:子世帯の間


ロフトのある立体的な空間。各室は引き戸でゆるやかに繋がっている。
1階から3階、更に屋上をゆるやかに結ぶ光の階段の様子。

特に階段の上部の段板(床)はこだわってつくった。

■屋上:花火鑑賞の間

近くのディズニーランドの花火がよく見える屋上の様子。

2世帯住宅であること、都市部における限られた敷地であること、必要な床面積等条件を整理していくと、どうしても立体的になっていく・・・。この「葛西の家」は角地なので比較的条件はよかったが、角地側以外は隣地がギリギリ一杯で建っている状況。壁に窓をあけてもお隣さんと「こんにちは!」の状況が多い都市部の設計において、私どもは上下階を結ぶタテの動線を工夫する事が多い。1つの方法として、開放性の高い階段(光を下に落とすような階段)を建物の平面的に最も暗い部分につくり、光と風を1階まで落とす手法。
・・・この家の実際の生活風景についてはチカジカテレビ取材がありまして(11月頃放送予定、関東圏のみ)又改めて紹介したいと思います。
投稿者 小宮歩 : 00:00
